斎藤昭人の情報戦に立つブログ

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自由主義諸国の盟友:スロバキアがウクライナへ「MiG-29」の供与を検討する

スロバキアNATO加盟国の中で最も小さな軍事力を持つ国の1つですが、それでもロシアの侵攻を阻止するために必要な種類の兵器をウクライナに供与するという重要な役割を担っています。

供与された兵器には、12,000発の120mm迫撃砲弾、携帯式地対空ミサイルシステム(MANPADS)や対戦車ミサイル(ATGM)のみならず、国内で一式しか存在しない「S-300PMU」地対空ミサイル(SAM)システムも含まれています。

このSAMは本質的にこの国で唯一敵機に通用する地上配備型の抑止力を構成していましたが、ウクライナの劣悪な防空戦力を増強するため、スロバキアはその貴重な戦力を自ら手放すことを受け入れたのです。

結果として生じた戦力の空白について、短期的にはスロバキアに配備されたアメリカ軍の「パトリオット」SAMシステムで補うことになりますが、長期的には失われた戦力を補うべく自国軍用のSAMを導入するか、そうでなければ完全に断念しなければならないでしょう。

現在、スロバキアは自国空軍の「MiG-29」戦闘機の全機をウクライナに供与することも検討しています。これはゼレンスキー大統領からの長きにわたる追加の戦闘機を求める声にようやく耳を傾けた動きと思われます。

ウクライナに追加の戦闘機を供与することで生じる実際のメリットについては(ゼレンスキー大統領が数多く求めている別の重火器群と同様に)議論の余地があるものの、ウクライナに「MiG-29」を引き渡すことが市民と軍の士気を高め、2月24日にロシアが侵攻を開始して以来、この国が最も声を上げてきた要望に応えることになるのは確実であることは言うまでもありません。

スロバキア空軍は、同国中部に位置するスリアチ空軍基地で、単座の「MiG-29AS」戦闘機9機と復座の「MiG-29UBS」練習機2機を運用しています。領空警備における必要最小限の要件に応じるため、現時点では僅か5機の「MiG-29AS」と1機の「MiG-29UBS」だけが稼働状態にあると考えられており、空軍は2023年の単座12機、複座2機の「F-16V(ブロック70/72)」への更新を待ち望んでいる状態にあります。

スロバキア保有する全ての「MiG-29」は、2005年から2008年にかけて「RSK ミグ」社によってNATO規格に改修され、「MiG-29AS」と「MiG-29UBS」(注:SはスロバキアのSを意味します)と新た呼称されるようになりましたが、その戦闘能力自体は、1980年代後半にチェコスロバキアに初めて納入された時のレベルを維持しています。

残念なことに、そのことは「MiG-29AS」が、2022年のロシアによる侵攻における戦闘にて(視覚的に確認されたもので)少なくとも4機の損失を出している、ウクライナ軍が保有している60機の「MiG-29 "製品9.13"」とその改良型である「MiG-29MU1」より性能が劣っていることを意味しています(注:スロバキア軍の「MiG-29AS」は「製品9.12」という初期型の規格です)。

ウクライナはロシアの飛行機やヘリコプターから都市や地上部隊を防衛するために追加の戦闘機が必要だと断固として主張していますが、そうした任務については、移動式のSAMシステムの増強によってより適切に対処されることは間違いないでしょう。

一般的な見方に反して、これまでにウクライナの戦闘機がロシア空軍の日常的な作戦を著しく阻害したことを示唆するような兆候はほとんど見られません。

以前に、アメリカはウクライナに対する「MiG-29」の供与を引き受ける見込みがある国としてポーランドブルガリアに目を向けていましたが、興味深いことに「MiG-29」はウクライナが提示したウィッシュリストには入っていませんでした。

私たち筆者らが入手したウクライナ軍の要求を提示した文書では、望ましいとされる援助の中に、驚くべきことに真新しい「F-15EX」戦闘機、「F-15SE」戦闘爆撃機「A-10 "サンダーボルトII"」対地攻撃機が含まれていたのです。

「 F-15SE "サイレント・イーグル"」が単なる提案モデルで終わって実機が1機も製造されなかったことや、アメリカ空軍が「F-15EX "イーグルII" 」の最初の1機を受領したばかりであることを別にすれば、このような要求は、ウクライナ空軍の要員がこれらの機種を効果的に使用するための戦術を習得するどころか、機体の習熟自体に何ヶ月も要する事実すら完全に無視していることは明らかです。

結局、ポーランドブルガリアの「MiG-29」をウクライナに供与するという試みが実現することはありませんでした。おそらく、ATGMやMANPADSといった、よりシンプルな(そして政治的に安全な)携行型の兵器と比較した場合、 その供与が(政治的な)リスクが高すぎて厄介なものになると判断されたからでしょう。

同様に、ポーランドウクライナへの「MiG-29」の供与について、ウクライナが実際に必要とする防衛上のニーズを超えるものとみなしている可能性もあります。ロシアとの緊張が常に高くなっている中で、ポーランド空軍はMiG-29を譲渡することによって失われる防空戦力を担う代替機をすぐに見つけなければならないという事実もあったことから、この供与が実現しなかったのは決して驚くようなことではありません(注:ポーランド保有する「MiG-29」全機をアメリカを介してウクライナへ供与する意向を表明しましたが、アメリカが難色を示したため、最終的に頓挫してしまったことは日本でもよく知られています)。

同じ結果がスロバキアに影響を及ぼす可能性があります。同国は(少なくとも2023年まで)保有する全戦闘機を失った後でも自国の領空を防衛できるという保証が得られる場合に限って、ウクライナへの「MiG-29」の譲渡が可能だと以前から表明していましたからです。

このような保証は、ポーランドチェコ空軍がスロバキアの緊急発進待機任務(QRA)を引き継ぐか、NATO軍機を一時的にスロバキアに駐留させて領空警備の任務を遂行させることで実現できるかもしれません。

仮に「MIG-29」の供与が実現すれば、これらの機体はウクライナ西部にある空軍基地に駐留することになるでしょう。空軍基地周辺での分散配置と頻繁に移動させることは機体の生存率を大幅に向上させる可能性に寄与し、それによってロシアはウクライナ空軍の壊滅に向けて現在も取り組んでいる作戦の強化を余儀なくされるのです。

ロシアは戦争が2ヶ月を経過しても依然として敵空軍の壊滅ができていないことを踏まえると、航空基地への攻撃を強化したところで、それが近いうちに成功する兆しはほとんどありません。

敵機の撃墜や地上兵器の撃破という観点からすると、「MiG-29」の増加がもたらす具体的な貢献は大したことはないかもしれませんが、ロシア側が損失を防ぐために作戦を修正する必要が出てくるという事実だけでも、現地の戦況にかなりの影響を与えることができます。

ロジスティックスと既存の知見の観点からすると、可能性があるスロバキアからの「MiG-29」の供与は、これまでのところ、ウクライナに航空戦力を引き渡す計画としては最も現実的なものと思われます。すでにパイロットは同機種の訓練も済んでおり、兵装や関連するインフラも共通であるため、ウクライナ空軍へのスムーズな移行が見込まれるという理由があるためです。

これは少なからず真実と言えるでしょう。なぜならば、供与に関係する戦闘機はごく僅かの数にすぎないと予想されており、ウクライナ空軍への統合は容易なものの、戦局における潜在的な影響は限定的なものに限られるからです。

その意味で、これらの戦闘機がもたらす象徴性や心強さは、実際の戦闘力をはるかに凌駕するかもしれません。

スロバキアは、有意義な物的支援をするために、必ずしも相当規模の軍隊を有する大国である必要がないことをすでに実証しています。

現段階でドイツやフランスといった主要なNATO諸国がウクライナに装甲戦闘車両や大砲などの重火器を提供するのを見合わせているため、スロバキアポーランド、そしてチェコなどの中欧諸国がその不足を補ってウクライナの戦闘の維持に貢献しているのです(注:フランスは「カエサル」155mm自走榴弾砲の供与を表明しました)。

スロバキアの「MiG-29AS」が近いうちにこの戦いに加わるかどうかはまだ不明ですが、仮に供与が実現しなかったとしても、スロバキアがヨーロッパの自由を大いに助けたという事実は変わらないでしょう(注:4月21日にアメリカ国防総省のジョン・カービー報道官はウクライナが同盟国から戦闘機の部品を供与された旨を公表しました。供与した国や数は伏せられていますが、それにスロバキアが含まれている可能性があることは言うまでもありません)。

 

引用元:

spioenkopjp.blogspot.com

宇多田ヒカルのコーチェラ出演での批判は本当なのか

先述の通り、宇多田ヒカルさんがアメリカで開催される世界中のアーティストの憧れのようなフェスである「コーチェラ」に出演した。

合計5曲を披露した宇多田ヒカルさんはYouTubeでもコーチェラでのパフォーマンスを配信され、大勢の人を魅了していたが、一部で「宇多田ヒカルさんに批判殺到した」「First Loveで批判殺到した」と噂されていた。

なぜ宇多田ヒカルさんが批判された旨の噂が出たのかを個人的見解で解説してみる。

 

実際にパフォーマンスを見た人は「素晴らしかった」「感動した」と口を揃えて言っていて、一見すれば批判される内容は一切ない。今回の宇多田ヒカルさん批判に関しても、実際には批判したとは言えないような内容である。

宇多田ヒカルさんのステージは「Head in the Clouds Forever」というメインステージで、アーティストの中でもアジアのアーティストを取り扱う音楽レーベル「88rising」より開催された。

宇多田ヒカルさん自身はU3MUSIC所属で音楽レーベルもエピックレコードジャパンだが、88rising代表のショーン・ミヤシロさんから招待を受けています。 宇多田ヒカルさんがパフォーマンスしたのは4月16日、日本時間で17日で、同日にYouTubeにてコーチェラの配信が行われ、現地に行かなかった人でも宇多田ヒカルさんのパフォーマンスをチェックできる。

 

コーチェラで披露した楽曲は、デビュー曲の「Automatic」、キングダムハーツ主題歌の「Simple and Clean」、全米でランキング圏内入りしていた「Face My Fears」、3rdシングルの「First Love」、完全新曲で88risingとコラボ作品の「T」。 宇多田ヒカルさんの知名度を高くしたデビュー序盤の代表曲や、比較的最新かつアメリカでも知名度が高い楽曲がピックアップされて披露されていまた。

 

配信でも日本だけでなく世界各国のユーザーから評価されていて、若い頃と遜色のない、人によっては歳を取ってさらに磨きがかかったようなパフォーマンスに映ったと、世界中を感動させている。

日本・世界どちらからも認められているアーティストの宇多田ヒカルさんがコーチェラにて批判を受けた噂は、YouTubeのコーチェラ配信の「アンチコメント」が原因であると思う。

他のYouTube配信と同じくコーチェラ配信でもコメントが流れますが、日本語以外にも様々な言語圏内のユーザーがコメントを落としていた。そんな中で日本語でアンチコメントを投稿していたユーザーが一定数いた。

アンチコメントの内容は「オワコン」「歳取りすぎで歌えてない」「他のアーティストの方がはるかに優秀」等、少なくともアンチコメントを投稿した人物の主観でしかないような内容ばかりでした。

宇多田ヒカルさんのコーチェラ出演による批判・アンチコメントの割合ですが、全体の1%にも満たしていません。ほとんどのYouTubeコメントやTwitterでの反応を見ると、大半のユーザーが宇多田ヒカルさんを称賛していて、実際に批判している人は目に見えて少ない。

音楽フェスという大舞台に出演したアーティストなので実力は世界が認めていて、日本でも多くの功績を残しています。

 

宇多田ヒカルさんの批判・アンチがほんの一部しかなかったにも関わらず、Twitterの検索では「宇多田ヒカル 批判殺到」のワードが上位に表示された。

宇多田ヒカルさんのファンがYouTubeにてコーチェラにて宇多田ヒカルさんを批判するアンチに対する動画をアップしているのが原因である。

動画はまとめ系Twitterにて大量に拡散されていて、手動でないであろうアカウントが「宇多田ヒカル 批判殺到」のワードをツイートしていたせいで、検索上位ワードになっている。 実際に上記動画をツイートしているまとめ系のTwitterをひとつ削除するだけで、検索されたツイートの数は10にも満たなくなります。

実際の宇多田ヒカルさんは動画コメントだけでなく、コーチェラ出演に伴うメディアでの取り扱いでも、高評価を貰っている。

確かに一部アンチコメントこそありましたが、割合を考えても「批判はないのと同じ」と考えて問題はありません。噂自体はデマではないが、話が大きくなりすぎただけである。また、炎上しているほどでもないため、数日もすればTwitterの検索でも宇多田ヒカルさんの批判も出てこなくなる可能性が高い。

 

このように、情報・印象の操作が起こりやすい世の中にあるから、何が正しい情報なのか、タイムラインに慣れて見極めていく必要がある時代になったと思う。

宇多田ヒカルが88risingとステージを共にした意義

「88risingのショーンに誘われてちょっとコーチェラ出ることになりました」という宇多田ヒカルSNS告知があったのは本番の7時間半前。

現地時間の午後6時ごろからスタートした88risingのステージは、アジアの音楽シーンにとって非常に意義深いものとなった。

 

宇多田ヒカルさんはレジェンドであり、私にとっての日本のヒーローでもあります。彼女をHead In The Clouds Foreverに招くことができ、まさに夢が実現しました。そして、宇多田ヒカルさんにとって初となる音楽フェスへの出場を叶えることができたことを光栄に思っています」

 

ショーン・ミヤシロ(88rising Founder/CEO)のコメントどおり、今回の出演はとても特別な機会だったわけだが、それがいかに特別なのか把握するためには、88risingというコミュニティ、そして『Coachella Valley Music and Arts Festival』(以下『コーチェラ』)というフェスティバルについての理解が必要となる。

 

まず、『コーチェラ』について。アメリカはカリフォルニア州インディオにある砂漠地帯、コーチェラ・バレーで開催される野外音楽フェスティバルで、ほぼ同一ラインナップの公演が2週続けて行われる(つまり、ほぼ同じラインナップのフェスをWeek1・Week2の計2回観ることができる)。

1日あたり12万人もの人々が訪れる規模は世界最大級であり、近年は主要アクトの大部分をYouTubeでリアルタイム配信している(24時間以内なら巻き戻し再生可能)。

ラインナップの選定についても非常に意識的で、人気と先鋭性を兼ね備えたポップスターがしのぎを削る機会にもなっており、2018年にトリを務めたビヨンセのパフォーマンスをはじめ、伝説的な名ステージも多い。

そうした歴史が生まれる地として毎年同フェスへの注目度は極めて高く、アーティストにとってはそれまでのキャリアを全てかけた最大の見せ場でもあるのだ。

今回の88risingは同フェスにおけるキャパ最大のメインステージ(コーチェラステージ)、しかもその日のフェスの佳境へと突入する夕方のちょうどいい時間。

これ以上ないほどの大舞台だったと言える。

 

そして、88risingについて。日系アメリカ人のショーン・ミヤシロが2015年に立ち上げたクリエイティブ企業で、アジア出身アーティストのマネジメント/コンテンツ制作/ディストリビューションを幅広く手掛け、R&Bやヒップホップの領域を中心に大きな話題を呼んできた。

その最たるものが、昨年9月に公開されたマーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のサウンドトラックだろう。

ジョエル・P・ウェストによるオリジナルスコアとは別に制作されたこのサントラは88risingがキュレーションからエグゼクティブプロデュースまでを務め、インスパイア曲とともに『シャン・チー/テン・リングスの伝説:ザ・アルバム』としてリリースされた。

星野源も参加した本作は、同じMCUシリーズの名作映画『ブラックパンサー』でケンドリック・ラマーが主導したアルバムに通じる意義を持つもので、世界最大級のコンテンツを通してアジアの存在感と実力に目を向けさせるまたとない機会となった。

こうした抜擢の背景には、88risingがアメリカで行った初の大型音楽フェス『HEAD IN THE CLOUDS FESTIVAL, the 88rising experience』(2018年9月)などの地道な積み上げがあったからで、このフェスの名前を冠した今回の『コーチェラ』の舞台は、同レーベルにとっても、アジア人コミュニティにとっても、一つの到達点を示すものだったように思う。

以上を踏まえて認識されるべきなのが、今回の宇多田ヒカルの出演はあくまで“88risingの一員としてのものだった”ということである。

 

1月にリリースされたアルバム『BADモード』は、UK/USビートミュージックの近年の潮流に絶妙に対応した傑作で、その路線に大きく貢献したFloating Pointsも同日『コーチェラ』に出演、翌日のトリにはSwedish House Mafia / The Weekndが控えていることもあって、この新譜からの選曲が多くなるのではないかと考えた人も多かったはず。

しかし、実際に披露された5曲はこうしたモードとは大きく異なる方向性を示していた。「Simple And Clean」「Face My Fears」は世界的人気を誇るゲーム『キングダム ハーツ』シリーズのテーマ曲、「First Love」「Automatic」は日本のみならずアジアのR&Bシーンに革新をもたらした名曲。

いずれもアジアンポップスのクラシックであり、歴史的な意義も知名度も非常に高い(実際「Automatic」のイントロが流れた瞬間、YouTubeチャット欄は様々な言語で埋め尽くされていた)。

今回の『コーチェラ』では、近年のビートを入り口にアジアならではのR&Bへ向かっていく流れを示す88risingのセットリストがまずあり、宇多田のソロ4曲(いずれもアジアンポップスのクラシック)はこの中で特にメロディアスなパートを担い、自身の音楽の文脈的価値を示しつつセット全体の強度を高める役割を果たしていたと言える。

 

大物ゲストとしてではなくチームの一員として機能し、全体に貢献しつつ自らもフックアップしてもらう。

宇多田ヒカルはその長いキャリアにおいてライブ経験は少なく、さらに初のフェス出演=アウェイにもかかわらずパフォーマンスは安定しており、素晴らしい存在感を発揮していた。

これは88rising、そして様々な文化圏の優れたアーティストを積極的に呼んでいる『コーチェラ』という舞台だからこそ初めて可能だったのではないか。

88risingや日本の一部コンテンツが地道に積み上げてきた価値があってこその今回のステージであるということは、しっかりと周知されるべきだと思う。

 

大物ゲストとしてではなくチームの一員として機能し、全体に貢献しつつ自らもフックアップしてもらう。

宇多田ヒカルはその長いキャリアにおいてライブ経験は少なく、さらに初のフェス出演=アウェイにもかかわらずパフォーマンスは安定しており、素晴らしい存在感を発揮していた。

これは88rising、そして様々な文化圏の優れたアーティストを積極的に呼んでいる『コーチェラ』という舞台だからこそ初めて可能だったのではないか。

88risingや日本の一部コンテンツが地道に積み上げてきた価値があってこその今回のステージであるということは、しっかりと周知されるべきだと思う。

宇多田ヒカル at コーチェラ 2022

コーチェラ2022の88risingのゲストで宇多田ヒカルが出演。

反応ツイートのまとめ(ほぼ自分用)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

経済制裁はいかにロシアを殺すか?part.7

Kamil Galeev氏による論考記事の和訳。経済制裁によってロシアがどのように崩壊していくか、具体的かつ明瞭な論旨で考察されています。 こちらはpart.7になります。

part.6はこちら

 

さて、彼らはどうするのだろう?自給自足農業への回帰を奨励する動きもある。良さそうだが、うまくいかないだろう。実際、かつてロシア人はダーチャや自家菜園で経済危機を乗り切った。しかし、その文化は失われた。団塊の世代は、それができる最後の世代だ。

 

自給自足農業は極めて非生産的だ。また、非常に手間と時間がかかる。また、若い人たちには必要な能力が欠けている。経済が好調で石油が高価だった時代、彼らはバブーシュカから庭の作り方を習わなかったし、今もすぐに習うことはないだろう。

 

今回の経済危機は、ロシアの歴史上特異だ。まず第一に、現在は他に類を見ないほど高齢化している。これまでの危機の時は、もっと若年人口が多かった。さらに重要なことは、国民のほとんどが自給自足農業の方法を忘れてしまった後に起こる、最初の危機だということだ。

 

ロシアの経済状況はひどいものだ。地方自治体が非難されるような大惨事だ。どうする?買い占めだ。可能な限りの在庫を。すでにそうなっている。ただ、スタブロポリでは 砂糖は不足していない。 なぜか?他の地域への持ち出しを許可していないからだ。

 

それがロシア崩壊の大きな要因になるだろう。地方当局が突然独立を宣言するわけではない。少なくとも今のところ、それはない。しかし、地元の利益優先で行動するようになる。なぜなら、そこで大惨事が起きれば、彼らはその責任を負わされるからだ。

 

文字通り何もかもが品不足になる中、地元の利益優先で行動することで 、彼らは必然的に在庫を抱えることになる。サプライチェーンや技術の連鎖を断ち切る。経済制裁で通信網は悪化しているため、ますますやりやすくなる。

 

ロシアは、道徳的に正当化された集団行動によって崩壊することはないだろう。ロシアは、自分たちの地域の破滅を避けるために、自分たちの役人によって、その結束が崩されることになる。それは事実上の経済的分離主義であり、政治的分離主義はもっと後になるであろう。

 

ロシアの崩壊と、その後の分離主義国家の台頭を論じるとき、多くの人が民族紛争や政治的アイデンティティに注目する。それはそれで間違ってはいない。しかし、私は、崩壊の主な要因は、地理的、社会経済的なものであると主張する。

 

ロシア崩壊の最良の指標はユーゴスラビアでもオーストリアハンガリーでもない。クレオール半島人の対立があったスペイン植民地帝国の崩壊だ。ロシアは、政治、経済、文化の面で、多くの人が考えている以上にラテンアメリカ的国家なのだ。

 

(終)

 

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サブスタックに長文読解を掲載する予定。ロシアはなぜあんなに大きく、あんなに寒くなったのか、という文章。ロシア帝国拡大の政治経済学的な論理を概説している。なぜロシアが南下するよりも早く北上したのかを説明している。

 

Kamil Galeev氏について チェブニング奨学生としてセント・アンドリュース大学で近世史の文学修士過程で勉強中。2019年7月、北京大学の円清院を卒業し、中国学と経済学の修士号を取得。また、高等経済学校(モスクワ)で歴史学の学士号を取得。

 

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経済制裁はいかにロシアを殺すか?part.6

Kamil Galeev氏による論考記事の和訳。経済制裁によってロシアがどのように崩壊していくか、具体的かつ明瞭な論旨で考察されています。 こちらはpart.6になります。

part.5はこちら

 

ロシア衰退の第三の側面は、文字通りすべての消費財の供給が減少することだ。モレなくダブりない、2つの選択肢がある。価格を上げるか、品不足になるかである。当初は、この両方が起こる。人々は新しい価格にショックを受ける。

 

砂糖のような消費財はもちろん品不足だ。この貴重な品不足商品について、人々が叫び、戦い、議論している映像がたくさん見られる。

 

砂糖が品不足になると、盗んで仕入れるインセンティブが指数関数的に上昇する。これはスーパーの従業員が砂糖を盗んで、車のトランクに積んでいるところだ。ある女性がコメントしている。「だから、砂糖は棚に並ばないのよ」

 

砂糖の取引で儲けようとする人は多いだろう。ここでは、50kgの砂糖袋を市場価格より高く売った男が逮捕された。政府はすでにこのような不当利得に対して戦っている。このようなことは、ますます増えるだろう。

 

ご覧のようにロシアのスーパーマーケットでは、すでに「社会的重要品目」の購入が制限されている。できるだけたくさん買ってストックしておこうとする人が多すぎて、品薄状態を作り出している。

 

さて、もっと高い次元で考えてみよう。できるだけたくさん仕入れようとする人は、確かに既存の品不足を悪化させる。しかし、地方や町も同じことをやっているのだ。ロシアを殺すのは、砂糖を仕入れる「個人」ではなく、同じことをする「役人」なのだ。

 

ロシアの国家について考えるとき、我々は通常、プーチンvs国民という二項対立の構図で考えている。国民は指導者を支持するのか?反乱を起こすか?そうではない。それは関係ない。連邦国家は均質ではない。プーチン経済制裁を無視できるが、彼の部下はできない。

 

そう、プーチン推しのコアな有権者たちは、大統領に寄り添っているし、最後まで寄り添ってくれるだろう。プーチンは神聖な存在であり、彼らは彼を責めることはないだろう。では、自分たちの問題、食糧不足を誰のせいにするのか?もちろん、「腐敗した市長と知事」だ。

 

私は冗談を言っているのではない。プーチンの支持者の多くは、Z侵攻を全面的に支持している。一方、彼らはすでに経済問題にも悩まされている。彼らは誰を非難するのか?知事だ。あの腐敗したクズだ。すべてにおいて有罪だ。プーチンは聖なる存在だが、知事は違う。

 

このようなロシアの政治文化は、地方当局の立場を耐え難いものにしている。プーチンは神聖で、無実で、責任を取らない。生活の質に責任を持つのは地方自治体なのだ。プーチンのせいで生活の質が低下しているのに、知事が非難される。

経済制裁はいかにロシアを殺すか?part.5

Kamil Galeev氏による論考記事の和訳。経済制裁によってロシアがどのように崩壊していくか、具体的かつ明瞭な論旨で考察されています。 こちらはpart.5になります。

part.4はこちら

 

ロシアで唯一の戦車生産者であるウラルバゴンザボドの生産がすべてストップしているのも不思議ではない。2014年に導入された古い経済制裁は、新しい革新的な戦車の開発を許さなかった。2022年の新たな制裁では、戦車の製造は一切許されない。

 

ロシアの軍需産業は、欧米の機器や部品に全面的に依存している。ロシアでMLRSと砲弾システムを生産しているMotovilihinskie Zavody社について考えてみよう。ご覧のように、彼らはイタリアのTacchi Giacomo e Figli SpA社のターンミル工業機械を使用している。

 

ロシアの軍事工場に納入しているバルト工業会社のCEOのインタビュー。「我々は産業機械、ベアリング、ボールネジ、スピンドルを生産していない。ロシアは「クールな」兵器をたくさん生産できる。しかし『つまらないもの』を生産することができないので、没落していく」

 

軍事産業も死につつある。車や自動車の工場が部品やコンポーネント不足で止まっている。従業員を解雇しているのだ。もちろん、解決策を見つけようと、「ロシアの部品から」新しい自動車を作ろうとするところもある。まあ、聞こえは良いが、効果はない。

 

エカテリンブルク警察の命令を見てみよう。経済制裁下では修理ができないので、警察官はもう外国産の車を使うことができない。そのための部品がないのだ。

 

もう一つの被害者は鉄道だ。ロシアは、鉄道車両の生産をローラーベアリングからカセットベアリングに切り替えた。その方が効率がからだ。しかし、ロシアにある3つのカセットベアリングの生産工場は、いずれも外資系で輸入に頼っている。鉄道も大変だ。

 

鉄道は、この国を支えている主要な骨組みである。北米と違って、モノを運ぶだけでなく、人を運ぶのにも極めて重要な役割を担っている。ロシアの高速道路はひどいものだ。この国をつないでいるのは鉄道なのだ。もうすぐ崩壊するが。

 

ロシアの航空会社も今、混乱している。ロシアはボーイングエアバスの新しい部品が手に入らず、維持できなくなる。そのため、ポベダ航空は保有機材を40%削減する予定だ。部品が不足しすぎて、すべての飛行機を稼働させることができないのだ。

 

そう、ロシアには自前の航空機産業がある。しかし、航空機工場は外国の部品も使っている。ロストフ航空機工場が輸入不足で閉鎖されたので、ロシア製のАн-24とАн-26の修理は不可能になるだろう。せいぜい5〜6ヶ月の寿命だ。

 

大臣とその側近が、「盗んだ飛行機を海外で修理することはできない」と話し合っているこのインタビューを考えてみよう。そう、彼らはロシアでやろうとするだろう。部品の輸入が止まっている状態で修理するの?ご幸運を。