斎藤昭人の情報戦に立つブログ

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経済制裁はいかにロシアを殺すか?part.6

Kamil Galeev氏による論考記事の和訳。経済制裁によってロシアがどのように崩壊していくか、具体的かつ明瞭な論旨で考察されています。 こちらはpart.6になります。

part.5はこちら

 

ロシア衰退の第三の側面は、文字通りすべての消費財の供給が減少することだ。モレなくダブりない、2つの選択肢がある。価格を上げるか、品不足になるかである。当初は、この両方が起こる。人々は新しい価格にショックを受ける。

 

砂糖のような消費財はもちろん品不足だ。この貴重な品不足商品について、人々が叫び、戦い、議論している映像がたくさん見られる。

 

砂糖が品不足になると、盗んで仕入れるインセンティブが指数関数的に上昇する。これはスーパーの従業員が砂糖を盗んで、車のトランクに積んでいるところだ。ある女性がコメントしている。「だから、砂糖は棚に並ばないのよ」

 

砂糖の取引で儲けようとする人は多いだろう。ここでは、50kgの砂糖袋を市場価格より高く売った男が逮捕された。政府はすでにこのような不当利得に対して戦っている。このようなことは、ますます増えるだろう。

 

ご覧のようにロシアのスーパーマーケットでは、すでに「社会的重要品目」の購入が制限されている。できるだけたくさん買ってストックしておこうとする人が多すぎて、品薄状態を作り出している。

 

さて、もっと高い次元で考えてみよう。できるだけたくさん仕入れようとする人は、確かに既存の品不足を悪化させる。しかし、地方や町も同じことをやっているのだ。ロシアを殺すのは、砂糖を仕入れる「個人」ではなく、同じことをする「役人」なのだ。

 

ロシアの国家について考えるとき、我々は通常、プーチンvs国民という二項対立の構図で考えている。国民は指導者を支持するのか?反乱を起こすか?そうではない。それは関係ない。連邦国家は均質ではない。プーチン経済制裁を無視できるが、彼の部下はできない。

 

そう、プーチン推しのコアな有権者たちは、大統領に寄り添っているし、最後まで寄り添ってくれるだろう。プーチンは神聖な存在であり、彼らは彼を責めることはないだろう。では、自分たちの問題、食糧不足を誰のせいにするのか?もちろん、「腐敗した市長と知事」だ。

 

私は冗談を言っているのではない。プーチンの支持者の多くは、Z侵攻を全面的に支持している。一方、彼らはすでに経済問題にも悩まされている。彼らは誰を非難するのか?知事だ。あの腐敗したクズだ。すべてにおいて有罪だ。プーチンは聖なる存在だが、知事は違う。

 

このようなロシアの政治文化は、地方当局の立場を耐え難いものにしている。プーチンは神聖で、無実で、責任を取らない。生活の質に責任を持つのは地方自治体なのだ。プーチンのせいで生活の質が低下しているのに、知事が非難される。