斎藤昭人の情報戦に立つブログ

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経済制裁はいかにロシアを殺すか?part.2

Kamil Galeev氏による論考記事の和訳。経済制裁によってロシアがどのように崩壊していくか、具体的かつ明瞭な論旨で考察されています。

こちらはpart.2になります。

part.1はこちら

 

ロシア人はシリアで、キャラバンを護送するのは簡単だと学んだ。今、彼らはシリアの経験をウクライナで繰り返そうとしている。砂漠でのキャラバン輸送に慣れた彼らは、今度は森や住宅地を通ってキャラバンを輸送している。そこで彼らは待ち伏せに遭い、全滅させられる。

 

だからこそ、ロシア軍はウクライナでの見通しを悲観しているのだ。ストレルコフについて考えてみよう。29日間、ロシアはどの方面でも戦略的成功を収められなかった。「最悪の事態が現実となり、長く、血なまぐさい、非常に危険な戦争に巻き込まれる」

 

だからこそ、ロシアは多くの将官を失っているのだ。なぜ将官は前線にいるのか?ロシアが負けていて、プーチンもそれを知っているからだ。プーチンは激怒し、状況を改善するために前線に将官を送り込み、直接指揮を取らせているのだ。そして、そこで彼らは殺される。

 

プーチンは即座に勝利すると思って戦争を始めた。ロシアの宣伝ビラは文字通り、「キエフは1日で占領される」と自慢していた。そう、それはプロパガンダだ。しかし、それは「ウクライナ人は抵抗しない」というロシアに蔓延した確信を反映したものだった。

 

それはロシアにどんな影響を与えるか?欧米のアナリストはロシアの強靭さを誇張する。ニーアル・ファーガソンの最近の記事をみてみよう。彼は間違っている。プーチンは、ロシア国民が勝利と見なすような結果を得ることはできない。どんな条約もロシアの敗北を意味する。

 

だから、ロシアのエリートの中で賢い人たちは、すでに沈みゆく船から降りようとしているのだ。これは、イスタンブールの空港のATMでキャッシングするチュバイスの写真だ。チュバイスは現代ロシアの主要な設計者であり、今は逃亡中の身だ。

 

1990年代、サンクトペテルブルク自由主義経済学者チュバイスがロシアの民営化を設計した。彼は意図的に、最も怪しげで透明性のない方法で民営化を行い、政権から多大な恩恵を受ける金持ちをたくさん作り出すことに成功した。こうしてオリガルヒの財産が作られたのだ。

 

1990年代後半になると、チュバイスと取り巻きの「体制的自由主義者」は民主主義に嫌気がさした。彼らは議会制や公の政治を望んでいない。彼らは、(自分たちを嫌う)世論から守ってくれる皇帝が欲しかったのだ。そこで彼らはプーチンを選び、ゼロから彼を押し上げた。

 

2010年代、チュバイスはロシア民族主義に傾倒。「スプートニクポグロム」のような民族主義的なメディアに資金を提供し「ロシア人のためのロシア」の建設を提唱。チュバイスは、ロシアの寡頭政治、プーチン主義、ジンゴイスト的な妄想を構築した個人的な責任者だ。

 

今、ロシアで起きていることにこれほど大きな責任を負っている現存者はチュバイス以外にいない。彼は寡頭政治を作り、プーチンを権力の座に押し上げ、ロシアの民族主義を高めた。彼はすべての力を持ち、今、逃げ出した。彼はロシアがもう終わりだと知っているからだ。